ーーー親から受け継いだもの、
   自分の代ではなくせない。

   お金を稼ぐのは楽しい、
   不動産の方が儲かる。

   けれど、儲からなくても、
   ミカンを作っている方が楽しい。

   この土地を、ミカン農園を、
   何らかの形で次世代にも生かしていきたいーーー





ママライターのHitomiです!

今回は、浜松北区のミカン農家さん、

ささ農園」の佐々和弘さんのところに

お邪魔してきました!

ささ農園さんでは、
数種類のミカンを作っていて、
有名な青島ミカンはもちろん、
ゆら興津(おきつ)せとか
という、聞き慣れない品種のミカンも育てていらっしゃいます。

確かな目で選び抜かれ、
こだわって丁寧に
育てられたミカン。

今回は、
ちょうど時期も終わり頃の
極早生、
「ゆら」
をいただいたので試食してみました!

半端なく美味しい!高級料理店からも「ぜひ使いたい!」と言われるミカン!


ささ農園さんは、規模はそれほど大きくありませんが、
その分、こだわって丁寧にミカンを栽培されています。

このささ農園さんのミカン。

とにかく美味しいんです!!

ホントに美味しいんです!

実際に、ささ農園さんの作るミカンは、
高級レストランのシェフの方が気に入って、
お店で使われたりもしているぐらい。
プロの料理人も認めるほど、
品質が確かなミカンなんです。

ささ農園さんのミカンは数種類あるのですが、

コチラは「ゆら」という、極早生の品種。

旬の時期は10月上旬~と有名な青島ミカンなどに比べると、とっても早いです。

これ、むいてみると半端なくジューシー。




・・・あの、これ、伝わりますかね?

実物ね、なんか、もっとキラキラして見えるんですよ!


とにかく何か、

いっぱい詰まっている・・・!」

っていう感じなんです。

こう、ギュッと、

美味しさとか、栄養素とか、

こだわって大事に育てられた感じ、とか

なんかこう、そういうものが、

濃縮されて詰め込まれている感じ。


一口食べると、それが全身に、

ジュワっと広がる感じなんですよ。


オレンジ色の、宝石箱や~!

って感じです。


その宝石の光が全身にジュワアッと広がって、
全身が満たされます。
癒される~!心の底から美味しい~!!

って思いました。


この「ゆら」という品種は、

「酸味が丸い」のが特徴だそうです。

確かに、甘みと酸味のバランスが本当に絶妙で、

子供でも食べやすい!

ちょっと私の中の「ミカン」の価値観変わるくらい、

ホンっっとーに美味しかったです!!


ミカン好きなうちの娘(3歳)、
もう嬉しすぎて大興奮でした!


私は今まで、恥ずかしながら、
ミカンをそんなにきちんと味わって
食べたこともなかったんです。


スーパーで買ったミカンも、
いただきもののミカンも、
あんまり感謝もせずに、
機械的に食べていただけだったな、と。



私は今回のささ農園さんの「ゆら」で
ミカンの価値観が変わりました。
ミカンって、宝石のような果物だったんだ
って。
ちょっと大袈裟に聞こえるかもしれませんが、
だって本当に美味しかったんです。


もう、今もゆらの味思い出すと幸せですもん。
脳内、幸せ物質ドバーってなってます多分。


ささ農園さんの
行き届いた管理こだわり
ミカンの味が安定して高品質で、
美味しいのはもちろんですが、


やっぱり、
ささ農園さんの
歩まれてきたストーリーだとか、
ドラマだとか、
そういうものが
詰まっているからこそ、
こんなに美味しかったんだろうなぁと思います。


そんなささ農園のご主人、佐々和弘さんのお話、
とっても面白くて何時間お聞きしても飽きないぐらいでした!


現代の農業の課題だとか、
そういうものに正面から向き合って、
現実的に華麗に運営しながら
美味しいミカンの味を守り続けている佐々さん。

そんな佐々さんのストーリーは、
私にとって、
「農家さん」のイメージが
180°ガラリと変わる
ものでした。


佐々和弘さん物語~守るべきものを華麗に守る、異色の兼業農家



後ろに看板の見える「ひまわり不動産」は、
佐々さんが兼業で経営している不動産会社。
そのすぐ横にはミカンの直売所があります。

農家と不動産業の兼業は
なかなか珍しいらしいです。


ーーー「本当はね、畑売ればもっと遊べたんだけど」

「でも売れなかったよね。親から受け継いだ土地を、
 自分の代で減らしたくないな、って」ーーー


そんな風に語ってくださった、佐々さん。
ささ農園は元々ご両親から引き継いだそうですが、
意外にも以前は農業が嫌で仕方なかったそうなのです。


~元々嫌でたまらなかったミカン農家~


ーーー「お正月なんてね、ひたすらミカンを箱に詰めるのを
    手伝わなきゃいけないの。
    休みなんてなくてね。
    いかにして逃げるか、いつも考えていたね(笑)」ーーー


兼業農家をしていた佐々家に生まれた和弘さん。
お父様は元々農業が好きな方で、
幼い頃は家族総出で農業をしていたそう。

毎年、休む暇もなかったお正月。
他にも、日常的にお手伝いしなければならないことは
たくさんあったそうです。

「自由がない」ことがとても嫌だった
少年の頃の佐々さん。

親に「勉強してくる」と嘘をついて遊んだりと、
いかにして家の手伝いから逃げるか
に苦心して知恵を絞っていた時期もあったそう。

他にも、青年になってからは、
若い女の子が近くを通ると恥ずかしくて、
ミカンの木の裏に隠れた
こともあったとか・・・!

「とにかく『農家の息子』っていうのが嫌で、
 恥ずかしくて。流石にもう隠れたりはしないけど(笑)」



そんな風に、農業に関してネガティブな思いを抱いていた佐々和弘さん。

けれど、いざ親から農家を引き継ぐ際、
ある一言が佐々さんの心に火をつけました。



~親から引き継いだ土地を守りたい~


「農業なんてやってても儲からないじゃん、土地、売ったら?」

ご両親からミカン農家を引き継ぐときの手続きの際、
奥様が税務署を訪れた時、
税務署職員さんにそう言われたそうです。

それを聞いた佐々さん。
「なんか、カチン、ときて」
心に火がついたそうです。


幼い頃は、ミカン農家であるのが嫌だった。
若い頃は、女の子に顔を向けられないほど恥ずかしかった。

けれど、「やっぱり売れなかった」、
親から受け継いだもの。
土地、そしてミカン農家。


それから、佐々さんは燃えたそうです。

「絶対に農業を続けてやる!」と、
当時老木ばかりだったミカンの木の、
大掛かりな改植(植え替え)に踏み切ります。

改植するにはお金も時間も手間もかかります。
ですが、佐々さんは、
現実を見据えて計画的に改植。

新たに、ミカン農家として輝くために、
攻めの一手に出た佐々さん。


ささ農園の
「安定した高品質」
のミカンの裏には、
そんなチャレンジのヒストリーがあったのです。


それだけではなく、
現実を冷静に見据える佐々さんは、
「不動産業」
というもう1つの柱を持っています。


~「不動産屋と兼業」異色の農家という形~



「だってね、人に土地の処理任せると、
 すごく手数料取られるでしょう(笑)
 だから、自分でやっちゃえば早いかな、と思って」


元々最初は浜松の工場で会社員をしていた和弘さん。

しかし会社を辞めた頃から既に、
将来親からの土地を処理するときのことを考えて、
宅建の勉強などをしていたそうです。

そして、親から農園を引き継いだ後、
不動産業も法人化したのだと。


・・・ということを、
さらっとおっしゃる佐々さん。


・・・いえいえ、多分それ、
簡単にさらっとできることじゃないと思います。

とても経営に聡い方なのだな、と思います。

でも「すごいですね」と思わず私たちが言うと、

「いやいや、金の亡者なだけだよ(笑)」

と謙虚に笑う佐々さん。

いえいえ、あんな素晴らしいミカン作ってる人が
金の亡者なわけないですよ。

現状、資金に苦しむ農家さんはたくさんいると思います。
その中で、
きちんと現実を見据えて
親から受け継いだものを、
確かなミカンの味を、
守るべきものを守っている



現代の農業の1つの形を、
見事に体現されているのだと思いました。


先を見通す「先見の明」を持った、
敏腕経営者さんなのだな、と思いました。

~冷静に先を見通し、流れに乗る~


先ほどご紹介したように、
ご両親から引き継いだ後、
ミカン畑の木を大規模に改植した佐々さん。

どの品種を新たに植えるか?
を決めるとき、
実際に何種類も試食してみて
「美味しい」と思った品種を選んだそうです。

例えば、冒頭でご紹介した「ゆら」という品種。
元々浜松といえば「青島ミカン」などが盛んで
「ゆら」は、それほど有名な品種ではありませんでした。

しかし佐々さんが「ゆら」を育て始めたその数年後。

なんと、「ゆら」は、
農協の「天下糖一」という規格の
奨励品種に選ばれたそうです!

それで需要がアップしたとか。

佐々さん、もちろん「ゆら」を
「将来奨励品種になりそうだから」
なんて思って選んでません。

偶然といえばそうですが、
要は佐々さんに「見る目があった」
ということなのでしょうね。


他にも、
たまたま競売で安く買えた土地。
その後、偶然近くに大企業の工場ができ、
購入後に地価が上がったり。

ちなみに、その土地を買い取った後の諸々手続きなども、
不動産業の知識と経験を生かし、
全てご自身で滞りなく行なったそう。
完璧です。

すごいと思うんですが、
でも佐々さんは、
「いやいや、失敗もたくさんしているからね」