Yui Shizuoka

おすすめ情報 news

2022.03.17
農家さん

畑に森を作る!自然栽培で根深く個性豊かな野菜と暮らすマブチ農園



浜松市西区にあるマブチ農園は、40aの広さの畑で、年間で60〜80種類のさまざまな野菜類を化学農薬、肥料を入れない自然栽培で育てています。

20、30年前から、当時日本ではあまり知られていなかったつるむらさきやモロヘイヤ、空心菜なども作っています。
 

おいしい野菜は「料理しない料理法」がおすすめ



マブチ農園の馬淵康之さんを訪問した2月下旬に旬な野菜は、ニンジンとホウレンソウ。

馬淵さんは、「料理しない料理法」で食べることがおすすめだと言います。

料理しない料理法とは、何でしょうか。
 

ニンジンは蒸すだけ


ニンジンは、サトイモ、サツマイモなど5種類ほどの野菜と一緒に無水鍋などで蒸してそのまま食べれば十分おいしいそうです。

私も作ってみましたが、甘みとニンジンのいい香りで調味料を何もつけなくてもおいしかったです。
 

ホウレンソウは根も一緒に炒める




ホウレンソウは、葉だけでなく、ホウレンソウの立派な根も細かく切って油で塩と豆腐と一緒に炒めるのがおいしいと教えてもらいました。

馬淵さんは「ホウレンソウは根を食べるようなもんだ」と話しており、恐る恐る根も入れてみましたが、たしかにホウレンソウらしさがぎゅっと濃縮されているような風味が根につまっていて、炒め物のいいアクセントになりました。
 

マブチ農園には二等品の野菜がない



野菜などの農産物は、「大きい、小さい」などのサイズや、色や形などで規格が決められ一等品や二等品と分類されます。

しかし馬淵さんは、あくまでも規格は人間の目で見たものに過ぎず、種をまいて生まれてきた野菜はそれぞれが自己実現をしていると言います。

そのため、馬淵さんは「俺の畑に二等品はない」と力強く話します。
 

35年前から直接お客さんへ販売



ただ、「二等品がない畑」という理想を実現しようとしても、一般的な流通では受け入れてもらえません。

二等品がない畑は、自分の土俵を持っていないとできません。だから、自分のお客さんのために作ろうと決めました。

現在68歳の馬淵さんは、35年前に農業をはじめたときから、直接お客さんに販売しています。 「形がバラバラでもうまきゃいいだろ」と言います。いただいた大きさがバラバラのニンジン、おいしかったです。
 

土の中にも理想の社会を作りたい



馬淵さんにとっての理想の社会とは、出入りが自由で強制がないみんなが直接関われる小さなコミュニティが点在する世界。

どんなにいいものでも強制してはいかん。うちのやり方や理想とするものに興味がある人は、来たかったらいつでもおいでという考え方。そういうものを農業を通じてやりたいと思った」と話します。

馬淵さんは、理想の社会を土の中にも作りたいと試行錯誤を繰り返しています。

野菜や雑草の根に微生物がつき、そこに小動物がやってきます。根茎もまた、土の中の小さなコミュニティだと考えています。
 

森に学んで畑を作る



では、土の中に理想の社会を作るためにどのようなことをしているのでしょうか。 マブチ農園では、森に学んで畑を作っています

具体的には、落ち葉、稲わら、またゆっくり分解する木のチップを入れて土づくりをしています。



廃菌床、木のチップ、籾殻の3種類を重ねて3メートルまで積み上げ、菌を入れて発酵させた堆肥も入れています。
また、ソルゴーやエン麦などの緑肥を栽培して畑を休ませ、土のかさを増やし土の中に酸素が行き渡るようにしています。

動物性の有機質肥料も入れないので、基本的には肥料成分が土の中にない状態です。

そうなると、根が肥料成分を探して長く伸びてくるそうです。馬淵さんのネギやホウレンソウの根はとても長く、根がしっかり張った野菜は健康に育つので化学農薬も必要ないと言います。
 

技術や手法は変わっていくが思いは変わらない



35年前に有機農業をはじめた馬淵さんは、8年ほど前から炭素循環農法で自然栽培をしていました。さらに昨年からは菌耕堆肥を入れた菌耕農法で自然栽培に取り組んでいます。

馬淵さんは、「自然栽培の技術は日々変わっていくから壁にぶつかったらやり方を変えてみる」と話します。

変えてみることで欠点が利点になることもあるそうです。

でも、いくら技術や手法を変えて試行錯誤を繰り返したとしても、馬淵さんが35年前に抱いた「理想の社会や理想の農業」への思いはずっと変わりません
 

おいしいことが大事

そして、いくら理想を語っても現実が伴っていなければ、野菜がおいしくなければ意味がないと考えているそうです。

「野菜を食べてみてどうか?が大切。食べてみてはじめて話したことに重みが出る」と言います。

そんなマブチ農園には、お客さんから野菜がおいしかったという感謝の手紙が届けられます。

「直接お客さんに野菜が届けて、お客さんと関わっているからこそ得られる。これこそが農業をやっている喜び。」

◆農園プロフィール
農園名:マブチ農園
住所:430-0836静岡県浜松市西区大人見町3664-2
電話番号:053-485-6714

こちらの記事もおすすめ!

画像
2022.07.25
農家さん

浜名ファームが「規格外野菜も食べてほしい」と作った直売店「ここくる」

浜松市西区にある浜名ファームでは、水耕栽培でミツバやフルーツトマト、トマトの栽培をしています。また、サツマイモなど季節の野菜を露地で栽培し、大きなハウスが隣接する直売所「ここくる」では...

画像
2022.06.30
農家さん

親子で楽しめる収穫体験!自然栽培で野菜を育てるイトウファーム

浜松市北区にあるイトウファームでは、水耕栽培のサラダホウレンソウと、明るく広い温室の中で化学農薬や肥料を使わない自然栽培で多種多様な野菜類を育てています。訪問した3月中旬は、緑色が美し...

画像
2022.06.20
農家さん

古民家でマイクロハーブを育て資源を循環させるMzFarm―縁結農園―

浜松市浜北区都田。山と川に囲まれた築100年の古民家で、マイクロハーブを育てる「MzFarm―縁結農園―」を訪問しました。香りも味もギュッと濃縮。マイクロハーブとはマイクロハーブと...

画像
2022.05.31
農家さん

浜松産ハーブ苗を育てるサンクスグリーンに聞く!ハーブ栽培のポイント

浜松市浜北区にあるサンクスグリーンは、露地とハウスで年間160品種のさまざまなハーブ苗を育てています。そのほか野菜苗や切り花や変わった野菜なども栽培しています。ハーブを追究し続けて...

画像
2022.02.22
農家さん

新鮮で甘みと辛みのバランスが絶妙な「楽農の集いまっすぐ」のエシャレット

静岡県浜松市発祥の野菜「エシャレット」 浜松市の飲食店などで、お酒のお供に食べたことがある人も多いのではないでしょうか。でも、「おつまみなので家庭ではあまり食べない」「辛みがあるから子...

画像
2022.02.01
農家さん

味も見た目もおいしい野菜!三方原台地でオーガニックで育てる加藤農園

今回訪問した浜松市北区の三方原台地にある加藤農園は、化学肥料や化学農薬を使わない有機栽培で、年間40品目100種類の多種多様な野菜を育てています。野菜は、個人宅などへ季節の野菜をつめあ...

画像
2022.01.31
農家さん

地域の土を大切に!個性豊かなさつまいもを育てるとつか芋のうえん

とつか芋のうえんは「紅高系(品種名の金時や高系14号と呼ばれることもある)」、「紅はるか」、「からゆたか」の3品種のさつまいもを栽培しています。3つの違う種類のさつまいもを育てる理由は...

画像
2021.05.28
農家さん

日本一の新玉ねぎが浜松で栽培!?  やまたつファーム

浜松市篠原で、日本一の新玉ねぎを栽培しているやまたつファームさんに取材に行ってきました。 「日本一」の理由は、出荷の時期。日本のどこよりも早く、 ...

画像
2021.03.04
農家さん

浜北次郎柿発祥の地 足立農園様

「毎年クオリティの高いものを提供したい」そんな熱い想いをもつ足立農園さん。足立農園さんの栽培している果物は東京などでも大人気!!その秘密はこちらをご覧ください歯...

画像
2021.02.06
農家さん

生でも食べられるプチ小松菜がイチオシ!森島農園

静岡県浜松市東区で日々様々な工夫で新鮮野菜をお届けしている株式会社 森島農園さんに取材に行って参りました。小松菜を小さく育てて生でも食べられるような品種を作ろう!と...

画像
2020.12.28
農家さん

「命のカプセル」うずらの卵で人も土も元気にする!浜名湖ファーム

静岡県湖西市で自然食と無投薬で育てられたうずらの卵を生産している浜名湖ファームさんへ取材に行ってきました。実際に、たくさんのうずら達とも触れ合ってきましたよ。 ...

画像
2020.12.24
農家さん

大きくて肉厚ぷりっぷり!こだわりのきくらげ栽培 有限会社静岡ラボ

湖西市白須賀で安心安全の国産無農薬きくらげを栽培している有限会社静岡ラボさんに取材に行ってきました。実際に、栽培しているところを見せていただきながら、営業部...

画像
2020.10.09
農家さん

無農薬のお米を子ども達に!人も自然も豊かにする日月喜農園

人にも、自然にも一番優しい無農薬・無化学肥料で作られた食べ物。実際に無農薬のお米を作られている日月喜(ひつき)農園さんに取材に行ってきました。今回は、先代のお父...

画像
2020.10.06
農家さん

肉厚・無農薬のしいたけ農家をスタート!ラフタぷらす就労継続支援A型事業所

浜松市西区舞阪町にあるしいたけ農家・ラフタぷらすさんに取材に行ってきました。就労継続支援A型事業所でもあるラフタぷらすさんを支える森下勝美社長、奥様の起業ストー...

画像
2020.03.11
農家さん

「ひらまつさんちの元気が出る野菜!」耕青ファームの熱い思い。

Maman取材メンバー、次廣です。今回は、浜松市西区大久保町にある「耕青ファーム」さんにお邪魔させていただきました♪こちらでは、チンゲン菜・ほうれん草に加えて、スティックセニョール...

画像
2019.11.22
農家さん

ヤママツ鈴木農園・鈴木成典さん~”記憶に残る野菜”を作るプロフェッショナル ~

ーーー「例えば、レストランとかに行って。    今日何食べたか?    家に帰って、    『あれ美味しかったね』    って言われるような、    記憶に残る野菜を作りたい」ーー...

画像
2019.11.19
農家さん

愛情たっぷりの玉ねぎ  山下農園

地元「浜松」を愛する玉ねぎ農家さんを発見!Maman取材メンバー 大場です!秋が深まり、冬に移る気配を感じる11月中旬、浜松市西区にある “山下農園” さんへ行...

画像
2019.11.13
農家さん

ささ農園・佐々和弘さん~美味しさギュッと詰まったミカン!、失敗を恐れず流れを見定めていく~

ーーー親から受け継いだもの、   自分の代ではなくせない。   お金を稼ぐのは楽しい、   不動産の方が儲かる。   けれど、儲からなくても、   ミカンを作っている方が楽...

画像
2019.10.24
農家さん

谷野ファーム~新しい野菜の開拓~

Maman取材メンバー 干場です。今回は、「谷野ファーム」さんにお邪魔いたしました。浜松西部、大久保に広がるビニールハウス。「朝鮮戦争の際に国の指定を受けて米軍のためのブロッコリーやセ...

画像
2019.09.26
農家さん

【ハピフルとまと】まるたか農園さんの魅力♬

Maman取材メンバー 大場です!虫の音にも深まる秋を感じる9月中旬、浜松市北区都田町にある “まるたか農園” さんへ行ってきました。↑コレ!  ...