地域の土を大切に!個性豊かなさつまいもを育てるとつか芋のうえん
とつか芋のうえんは「紅高系(品種名の金時や高系14号と呼ばれることもある)」、「紅はるか」、「からゆたか」の3品種のさつまいもを栽培しています。
3つの違う種類のさつまいもを育てる理由は、それぞれにユニークな特徴があるからなんです。
歴史を刻むほくほく系の「紅高系」
昭和30年頃から浜松で栽培されている「紅高系」は、食感はほくほくで水分量が少なく、すっきりした味わい!
収穫した後に倉庫の中で寝かせてもほくほく感が残るそうです。
甘くてとろとろスイーツ好きのための「紅はるか」
さつまいもスイーツ好き、焼き芋好きにはたまらない!とにかく甘くてとろとろの「紅はるか」。
収穫後すぐは、甘みがなくほくほくしていますが、倉庫で寝かせるうちに、どんどん甘くなっていくそうです。
あっさりでさつまいもが苦手な人でもおいしい「からゆたか」
芋くささが少なく、あっさりしていて食べやすい「からゆたか」は、さつまいもが苦手な人もおいしく食べられます。
さつまいもにしてはめずらしく収穫した瞬間から、甘くてほくほくです。
おもしろいことに、倉庫で寝かせるとねっとりした食感に変化するので、食べる時期によっても印象が変わるおもしろい品種です。焼き芋、天ぷらはもちろん、ポテトサラダにしても合うそうです。
「からゆたか」という新しいさつまいもで作る焼き芋アイス
今回、お話を聞いた株式会社とつか芋のうえんは、3年ほど前から新しい品種の「からゆたか」の栽培をはじめました。
はじめは作り方がわからず苦労したそうですが、試行錯誤を重ねて、今ではおいしく元気な状態で、たくさん収穫することができるようになりました。
「からゆたか」は、芋くささが少なくあっさり、すっきりとした味わいの品種で、表面のゴツゴツも少なく、見た目もさらっときれい!
からゆたかのおいしさに感銘を受けたYui support株式会社のメンバーは、とつか芋のうえんの「からゆたか」の焼き芋を使ったアイスクリームを開発しました。
食べ比べをしてもらえるように「紅はるか」のアイスクリームも作ったそうです。私も2種類のアイスを食べ比べてみました。両方とも焼き芋の甘みとほのかな香ばしさがおいしかったです。
ふわっと香る飽きのこない「からゆたかアイス」
からゆたかの焼き芋アイスは、さつまいもの甘みも香りも後からゆっくりふわっとくるような優しい味でした。
飽きのこない、ずっと食べ続けられる味です。
口に入れた瞬間さつまいもが香る「紅はるかアイス」
紅はるかの焼き芋アイスは、口に入れた瞬間からコクのある甘みが口に広がる感じがします。さつまいもらしさが感じられる味です。
どちらの方がおいしいではなく、どちらにも良さがありました。
たとえば、午後のおやつの時間には「紅はるか」、子どもが就寝したあとに一日の疲れを癒すときは「からゆたか」のようにシーンや気分に合わせて選んでも楽しそうです。
浜松市では古くから沿岸でさつまいも栽培が盛ん
少しだけ、静岡県浜松市とさつまいもの関わりについても触れます。
浜松市では、土の温度が高い沿岸沿い砂地で古くからさつまいもが栽培されています。ほかの地域では、9月頃から収穫をはじめることが多いですが、浜松の沿岸部では7月~8月の早い時期から収穫をはじめます。浜松は早い時期から新さつまいもが食べられる地域ということです。
とつか芋のうえんさんがある松島町をはじめ、江之島町、西島町、福島町、旧鶴島町(現松島町)の5つの島「五島」地区でさつまいもが作られています。
その中でも、天竜川に近い松島町の土は粒子が細かく水持ちもいいのでさつまいもが作りやすいそうです。
とつか芋のうえんが大切にしている土づくり
お話を聞いたとつか芋のうえんの戸塚敬太さんと榎本賢一さんは、
「さつまいもが育ちやすいように育ってほしいので、さつまいもが生長するために必要な養分だけ足して、大量の肥料成分を入れないようにしています。そうすることで、さつまいもを収穫する時に土の中の肥料成分を使い切れるようにしています」と話します。
1年に1回は、必ずプラソイラという機械で土の中60〜80㎝くらい深く耕し、酸素も入れてふかふかにして、土の中の成分や微生物などを調整しています。
紅はるかは浜名湖ファームの鶏ふん堆肥のみを入れ、化学農薬を使用せずに栽培しています。使う肥料や入れるタイミング、入れ方など農業をはじめてから9年間試行錯誤を続け、地域にとっても、よりよい選択をし続けるために技術を磨いています。
子育てのヒントにも。「あれがない」より「あれもある」
農業は自然と自分自身との戦いで、「現状を把握」して、「今何ができるか考え計画を立て」、「実行する」ことに意味があると話す戸塚さんに農業の楽しさについて聞きました。
「農業をやる中で、『あれがない!これもない!』と思うよりも、『あれがある!これもある!』と考え、あるものでなんとか工夫して解決できた時がとても楽しいです。」
この考え方は、農業だけでなく子育てにもとても参考になりそうです。
◆農園プロフィール
農園名:株式会社とつか芋農園
住所:430-0834静岡県浜松市南区松島町615
電話番号:090-2922-1282